2016/5/20
台風の発生数から見る今年の天候傾向
5月20日現在、台風の発生数はゼロ。台風1号の発生が6月以降にずれ込めば1998年以来18年ぶりとなります。「どうなる?!2016年夏」でも解説したとおり、日本の天候に影響を与える海況(太平洋赤道域やインド洋)の海水温動向は、現在のところ1998年に類似した推移となっています。また、1998年は台風の年間発生数が16個と統計史上2番目に少なかった年でもあり、台風の発生数から見ても似たような天候経過を辿っているといえます。
年間の台風発生数が少なかったほうからのランキング(表1)を見てみましょう。
表1 台風の発生数ランキング
1位の2010年(14個)、2位の1998年(16個)、4位の1973年(21個)は、今年予想される海況と同様、春にエルニーニョ現象が終息し夏にラニーニャ現象が発生していました。これらの年は、発生数が6月までに1個以下だったのに対して、上陸数は2010年が2個、1998年は4個、1973年は1個でした。発生数が少ないからといって、必ずしも上陸数が少なかったとは限らないようです(平年の年間上陸数2.7個)。とくに1998年は、9月から10月にかけて立て続けに4個の台風が上陸し(発生数に対する上陸数の割合は25%と統計史上2番目の高さ)、多数の死者行方不明者を出すなど大きな被害をもたらしました。
いまだ発生の気配がない台風ですが、今年の夏から秋にかけても、台風の動向には要注意といえそうです。
ビジネス気象研究所 主任研究員 小越久美
気象予報士・防災士・データ解析士・健康気象アドバイザー
・日本テレビのニュース専門チャンネル「日テレNEWS24」にて
2013年3月までの8年半、気象キャスターを勤める
・気象予測のほか、桜の開花予想、マーチャンダイジングを担当
・女性の体調と気象の関係を研究中